第八章
がさがさ。揺れる茂みにびくっと肩を跳ねる。
「いっ今なにか居たんじゃない!?」
結局、ピチカもついてくることになった。
「あのなぁ」
ソニックは歓迎していないようだが。
「それさっきも聞いたぞ、ピチカ」
道無き道に足を踏み入れて数分と経たない内にピチカはこれである。ま、確かにこんな暗がりの中ではちょっと茂みが揺れた程度の音でも思わず不安に駆られてしまうというもの。そんなわけでピチカもソニックの傍を離れない。
本来ならルーティに付きまとうはずだが。道無き道を先頭に立って突き進む彼のすぐ隣を、並んで歩く気にはなれなかったのだ。突然穴に落ちたり正面から獰猛な動物が飛びかかってくる可能性だって……そういう意味では生け贄かもしれない。
「蛇とか出たらどうしよう……」
「うーん、悪い生き物は居ないと思うよ。だってパンフレットに」
「パンフレットパンフレットって! いつ更新されたかも分からないんだよ!」
警戒するなぁ。
「Shut up. あまり騒ぐと逆に寄ってくるぜ?」
そう注意を促すとピチカはぱっと両手で口を塞いで立ち止まった。
ソニックが小さく笑うと途端にぷくぅっと頬を膨らませて。
「こらー!」