第七章
ぱちぱち、と音を立てて。
小さな火花を散らす真ん丸とした火薬が暗闇の中に浮かぶ。闇の中で瞬く光とは、どうしてこんなにも幻想的でこうも目を奪われてしまうものなのだろう。
「あっ」
ルーティの線香花火の火薬が、ぽとりと地面に落ちた。
「はい死亡」
「ちょ、今、息吹きかけたでしょ!」
クレイジーはにやーっとその表情を変える。
「えー? 持ち方が悪かったんじゃないのー?」
マスターは続けて、
「最も長く安定させて燃えさせるには四十五度の角度に傾けた方が良いと言われている……」
揃いも揃って、この兄弟ときたら。
「……そういえば三人はどうしてここに?」
見たところ肝試しというわけでもなさそうだし。
「あっ」
「すぐに分かるさ」
マスターはふっと笑みをこぼす。……いや、それにしたって長く燃えているな彼の線香花火は。タブーは落ちた自分の線香花火の火薬を暫し見つめていたが。
「……タブー?」
ふと、顔を上げて立ち上がり、空を見上げた。