第七章
迫りくる妖怪、お化けの群れ。クレイジーは顔を青ざめる。
「ひぎゃあああッ!?」
はあ、と小さく溜め息が聞こえて。
「そこまでだ」
はっと顔を上げると、群がっていた妖怪やお化けが左右に割れて出来た道の先に呆れ顔のマスターが立っていた。救世主の登場にクレイジーが感動していると、その後ろからひょっこりと顔を出して現れたタブー、首を傾げて。
「なにしてるの? ルーティ」
……、はい?
「へえー信じらんないなー」
クレイジーはにこにこしながらもその頬には青筋を浮かべて。
「あんた達みたいな“いい大人”がこんなくっだらない遊びをねぇー」
「やめてやれクレイジー」
マスターはもう何度目かの溜め息を吐き出す。
「餓鬼の発想だ。そう気にしてやるな」
「こいつナチュラルにディスったで」
「やはり弟の味方ですね」
――あの後、当然のことながらネタばらし。
クレイジーは雰囲気に負けて彼らの仮装に全く気付かなかったのである。
「はあ? 子供の遊びに付き合わされたの?」
「あっははは……えと、ごめんなさい……ほんとに」
これはさすがに相手が悪かった。ルーティは両手を浅く挙げて苦笑い。