第六章



「これは単なる推測ですが。彼女は、挑戦者を無謀な勇者だと言っています」

リンクは続けて。

「それに加え、この人だかり。彼女がこれだけ挑発してるのに挑戦者が現れないということは、何か見せ付けられたか――」
「うん。さすがはリンクだね」

お前は悪役か、と突っ込みたくなるようなゆったりとした拍手を、微笑を浮かべ送ったのは彼女らの主人、レッドである。

「ローナは強いよ。さっきも、一般の人とどちらが先に二十匹捕まるかやってて」
「えっへん!」

誇らしげにローナが胸を張る辺り、圧倒的な差で勝利を収めたのだろう。

「ふっふっふ……それでも僕と戦いたいってのなら前に出てきてごらんよ」

挑発。が、周りの人間は顔を合わせてざわざわするだけで、名乗り出ようとはしない。ローナは大袈裟に溜め息を吐き出して。

「もー。たったの一度や二度、沢山取ったからってびびらないでよね。別に、負けたら罰ゲームってわけでもないのに……」

えっ?
 
 
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