第六章
「――そら見たかったなぁ」
兎のぬいぐるみを手に入れるまでに至った経緯を事細かにルーティが話すと、ドンキーは羨ましそうに呟き、笑って。
「あんたも、案外ええ奴やな」
にやにやと笑いながら視線を送るドンキーだったが、ウルフは未だに顔を背けたまま応えず、つんとした態度で。
「……せやけど」
ドンキーは隣を歩くリンクを見遣って。
「何でそのお面、買うたん」
「察してください」
先程の猫のお面を付けたまま、購入したリンク。――羞恥で真っ赤になってしまった顔を、あまり人に見られたくはない。
「可憐なる水上の舞姫!」
この声は。
聞いたことのある声だと思って目を向ければ、やはりそう、ローナだった。
金魚すくいという祭りの中では最もポピュラーな屋台の前で人だかりを賑わせ、彼女は何を始めようというのだろうか。