第六章
「もっかい!」
「その辺にしといたらどうですか?」
型抜きの屋台の前に屈んで腕を振り上げるドンキーに、呆れたように声をかけるのはリンクである。すると、ドンキーは唇を尖らせ、不服そうに振り返って。
「やって、上手く抜けへんもん」
リンクは腕を組み、見つめていたが。
「……時々子供っぽいですよね」
「悪かったな」
結局、リンクが言った通りに型抜きは諦めて、二人は肩を並べて歩いていた。
「……あの」
リンクの方から話を振ってくるとは。
特に決まった話題もなかったのでドンキーは顔を向けると、「何?」と返して。
「彼女のことですが」
リンクは続けて。
「……好きでしたか?」
彼女、というのが誰を指しているのかは大体分かる。ドンキーはふいと顔を背け、屋台やすれ違う人間を適当に眺めて。