第五章
運悪く、砂糖も塩も棚の一番上に置いてあったのだ。あの中で一番背が高いディディーやトゥーンでさえ、届きそうもない。
……どないすんねやろ。
「よし。トゥーン、台になれ」
「なっ」
ディディーが床を指差すと、トゥーンは勢いよく首を横に振って拒否。さすがに、好きな子の目の前で踏まれるのはちょっと。
「んだよ。リーダー命令だぞ」
「ばっ、それは戦隊ごっこの話だろ!」
思わず声を荒げるトゥーンだったが、他三人の視線に気付くとトゥーンはディディーの肩を組み、声を潜めて作戦会議。
「じゃあさ。あれやろうぜ、肩車」
「よし乗った」
そら危なすぎるんちゃうん。
呆れ顔で見つめるドンキーだったが、視線に気付いたリュカが振り向いたのを見て慌てて棚と向き直り、商品を手に取る。
「ふんふーん……」
不自然な鼻歌混じりに。