第五章
「ん、どした?」
「それ……人参、じゃないかな」
するとネスはピチカの持っていたメモをひょいと取り上げて、先程読み上げた文字を確認。他四人も後ろから覗き込んで。
「あ、本当だ」
「店員さん、人参! 人参ください!」
ピチカが元気よく手を挙げると、店員も何だそんなことかとほっと一息。近くにあった篭の中に人参を入れてから差し出して。
「ありがとうございます!」
「よし、俺が持つ」
「お前ばっか格好付けんな! 俺が」
「何だよ!」
子供らしい無邪気な笑顔でお礼を言うピチカと、格好良いところを見せようと篭の取り合いをするディディーとトゥーン。
「ばっ、よせって」
人前なのに、と二人を止めようとするネスの隣で、リュカはもう一度振り返る。
「……?」
そこにリンクはいなくて。
「あ、危なかった……」
監視役も楽ではない。リンクはすかさず飛び込んだ先で、やれやれと息を吐き出す。
「あのぅ」
「っあ……えーと。……すみません」
段ボールの中。