第四章



「背中、流そうか?」

現れたのはマルスである。

それまで湯に浸かっていたようだったが、今まさに体を洗おうとしているルーティを見つけて、わざわざ来てくれたらしい。

「えぇと」
「遠慮することないじゃないか」

戸惑うルーティを笑って、マルスはスポンジを手に取る。ボディソープをスポンジに馴染ませ、ルーティの背中に滑らせて。

「……日焼け、痛くないかい?」
「ううん。全然」

そんな、夏ならではのありふれた会話を繰り広げていたその時、マルスはふと、手を止めて。ルーティは不思議そうに、

「どうしたの?」

するとマルスはルーティの胸部に腕を回して、密着。「ひゃ」と小さく声を洩らしたが刹那、マルスは耳元に唇を寄せて。

「いいこと。……教えてあげようか」
 
 
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