第四章
「やだ! もう上がるっ!」
ディディーは勢いよく首を横に振ってはルーティにしがみつき、離れない。
「僕は今から入るんだけど……」
ルーティは苦笑混じりに呟き、溜め息。
「参ったなあ」
「だったら温度を下げてください」
リンクはトゥーンの髪を洗ってやりながら、そちらを見ずにドンキーにアドバイス。
「ぬるま湯の方が痛まないですから」
ルーティは風呂椅子に腰掛けると、シャワーを頭から被って。瞼を瞑って顔を上げては、ぬるま湯の心地好さに一息。
――僕は、誰に助けられたのだろう。
ずっと頭の奥で引っ掛かっている。溺れた人間を助けたのだから隠すことじゃあないのに、どうして話題に上がらないのか。
恥ずかしいから言いづらい? 言ってさえくれれば、僕もお礼を言うのに……