第四章
「じゃあどうするんだよ!」
「迷ってる暇無いんじゃなぁい?」
焦りを感じて騒ぐネロに、クレイジーはくすくす。まあ、本来なら敵役なのだから他人の不幸は蜜の味ってヤツか。
結局誰が人工呼吸をするんだと口論になる始末。周りがざわめく中、溜め息を吐き出してルーティに近付く男が一人。
「あ。……おい」
気付いたファルコがフォックスの肩をとんと叩き、指差す。それまで口論していたフォックスは仕方なさそうに目を向けて。
「何だよっ……、!?」
思わず二度見。
ルーティの上に跨がっていたのは、なんとウルフである。ウルフは何を躊躇することもなく、くいと顎を持ち上げて。
「あ……っ」
誰もが小さく声を洩らした。
目前、ウルフは一瞬目を細めたが短く息を吐き出すと、瞼を閉じ、唇を重ねて――