第一章
ここはルーティとウルフの部屋。
部屋に戻るなり、まだ出張から帰ってきたばかりのウルフは疲れ果てていたのか、早々に自分のベッドの上に寝転んで。
「おやすみ」
そう告げて、ルーティは自分のベッドの上に寝転ぶ。布団を内股に挟み、まだ眠くないので何となく携帯を弄り始める。
今や、何処のサイトも海水浴や夏祭りの話題で持ち切りだ。虚しいとは分かっていても、夢見るだけならタダなのだから。
「……はー、いいなぁ」
思わず、ぽつりと呟く。
学校に通っていた頃は夏こそ待ち兼ねた季節だったし、水着や浴衣も毎年新調して誰かと出掛けていた。けど、今は。
「電気消すぞ」
明るくては寝れないのか、ウルフはそう告げてから部屋の電気を消した。真っ暗な部屋の中、ルーティは天井を見上げて。
――戦士になった今では、夏が一番嫌いかもしれない。休みが取れれば別だけど。
誰か代わりに仕事をしてくれたらなぁ……