第三章
「次」
シフォンが告げると、次に対決を行うウルフとリンクが前に出てきて。
こういう時、両手を振り上げて応援すべきか否か迷ってしまう。ウルフには負けてほしくないが、迷惑じゃなかろうか。
「手加減はよしてくださいね?」
「してやれるほど器用じゃないんでな」
双方、勝ちを譲るつもりはないのかピリピリとしたオーラが伝わってくる。
「位置について」
すっとシフォンが片手を挙げると、ウルフとリンクはそれぞれフラッグに背中を向けて、砂浜の上に腹這いになり。
「よーい……」
二人は少しだけ腕を立てて構えると。
「どんっ」
その声を合図に立ち上がりながら振り向き、フラッグ目指して駆け出した。
此方も、双方同じ速度である。
周りが熱を上げて応援する中、ルーティは声を張り上げる勇気がなかなか出なくて。