第二章
徐々に心臓の鼓動が激しくなり、アイクが解放すると同時にリンクはその場に両膝を付き、両耳を塞いではがくがくと震えて。
「あ……っあ……やめ、てくださ……」
殺された魔物の嘆きは、リンクの耳にだけしっかりと届き、木霊していた。
――魔物ダッテ生キテイルノニ。本当ニ守リタイモノガアッテ戦ッテイルダケナノニ。家族モ友人モ、全部殺シヤガッタ。
「ごめんなさい……っごめんなさい……」
自分がどうして謝らなければいけないのか。それさえも分からないまま、リンクはただ、同じ台詞を呪文のように繰り返して。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめん、なさい……ごめん……なさ……っ」
不意に目の前に現れた狼によく似た姿の魔物が、みるみる内に皮や肉が爛れてやがて骨だけになり。リンクは目尻に涙を浮かべ、ゆっくりと首を横に振る。