第二章



釣られて、他の四人も笑い始めた。

すると周りの景色が歪み、元の森の中へと早変わりして。しかし、ダークリンクは疎か、他の四人の姿も消えない。

「――驚いたかい?」

そんな声が何処からか聞こえてきて、リンクを囲んでいた五人はその場を離れ、近くの切り株の上で足を組んで座っている男の元へ。リンクはゆっくりと立ち上がり。

「貴方は……、っ」

名を訊ねようとしたその時、リンクは先程受けたはずの傷が跡形もなく消えてしまっていることに気付き、目を丸くする。

その男は喉を鳴らして笑うと、見覚えのあるタクトを懐から取り出して軽く振るい。

「私の名は、ベンゼル」

ダークトゥーンによく似た容姿のその男は、己の名を告げると目を細めて笑った。

リンクが警戒し、目を見張っていると。

「彼らは本物だよ」

ぽつりとその男、ベンゼルは告げて。
 
 
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