第二章



「可哀想な人。誰かを救うには、必ず何かしらの犠牲を伴うというのに。全く、正義というのは何処までも甘ったれているのね。その優しさに気付くのは、ほんの一握りの人間だということを知りもしないで」

ぽつりぽつりとそう告げている間に、ゼルダの瞳にはぼんやりと赤黒い光が宿って。

嫌な予感が脳裏を過り、すかさずリンクはダークリンクの元へ。突き立てていた剣を引き抜き、二人には背中を向けないように後退しながら剣を構える。

立ち上がったダークリンクはゼルダと肩を並べ、共に微笑を浮かべていた。そこでようやく、リンクは己が図られていたのだと気付いて、顔を顰める。

「礼を言うぜ? あんたは俺の為に殺されてくれるんだろ? 馬鹿な奴……本当に」

ダークリンクは鼻で笑い飛ばした。

見れば、いつの間にかダークリンクの傷口は塞がっている。リンクは先程の行動に後悔しながら、二人を睨み付けて。
 
 
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