第二章



◆第二章『奏でられた悲劇』



「わああっ!」

エックス邸。

誰もが寝静まった夜、ルーティは声を上げて飛び起きた。動悸がして、騒がしい心臓を胸に手を添えては静まれと念じる。

瞼を瞑り、ゆっくりと呼吸を繰り返す。

「……どうした?」

同じ部屋、向かい側に置かれたベッドで寝ていた彼のパートナーであるウルフは、声に反応して目覚めたらしく。

眠気が抜けない為に起き上がりはしなかったが、寝返りを打っては肘を立て、手のひらを頬に添えて頭を預けてはルーティに注目すると、小さく笑みを溢して。

「怖い夢でも見たのか?」

ルーティはようやく動悸が収まり、額に滲んだ汗を手の甲で拭っては頷く。

恐らく、悪夢を見た原因はピチカと共に『恐怖! 本当にあった心霊写真集!』というテレビ番組を見ていたからだろう。
 
 
1/34ページ
スキ