エピローグ



リムは遊び呆ける子供達を目に、この中庭の隅にある大きな木の幹に凭れていた。

晴れ渡った青い空を見上げ、太陽の光に目を細める。胸に手を置いて瞼を閉じ、あの子守唄を小さく口吟んでいると。

「好きなのね。それ」

上の方から声が聞こえてきた。

口を閉ざして顔を上げると、そこには自分と瓜二つのダークプリンが木の枝に腰を下ろし、リムを見下ろしていて。

「けれど、今は誰も眠たくないはずだわ」

ダークプリンは続けて。

リムはふっと笑みを溢すと、視線を子供達に向けて。暫しの沈黙が訪れる。

「……子守唄ってね」

リムはようやく口を開いて。

「寝かし付ける為にあるんじゃないの」

ダークプリンは黙って聞いていた。

「次に目覚めた時、優しくて温かな、確かな現実を約束する為に歌うんだって」


――今となってはあの子守唄のお陰で世界が救われたのか、はたまた偶然だったのかどうかは分からない。それでも。

信じたいのだ。あの歌に、意味はあったのだと。想いが悪夢に打ち勝ったのだと。
 
 
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