エピローグ
「なっ何で止めないの!?」
あんなのは無意味だ、そう訴えようとするピチカに、隣に立ったリムは彼女の髪をそっと撫でる。ピチカは見上げて。
「正義は、決して一つではないの」
リムは語り出す。
「時として人を救うのが正義であれば、殺めるのもまた、正義なのよ。二人は自分が認めた正義を貫く為、道を違えた」
それは即ち対立し、敵になるということ。
「……そっか」
ピチカが内容を飲み込むのは早かった。
拳や蹴りを交え、互いの稲妻を走らせる二人が内に秘めた想いに偽りはなく、伝わってくる熱気が緊張感を漂わせている。
本気なんだ。守りたいものがあって、貫きたいものがあって、二人は戦ってるんだ。
「っ、あぶね」
怯んだかと思い、距離を詰めればすかさず蹴りが飛んできて、頬を少し掠めたが、ぎりぎり飛び退いて躱しスピカは苦笑い。
病み上がりに近い状態だったというのに双方共に容赦なく、証拠に所々の地面が抉れ、戦いの激しさを物語っていて。