エピローグ



かけてやる言葉は幾らでもあったはずなのに、ルーティはただ暫く中庭の中心で立ち尽くすスピカを見つめていた。

「……俺、言ったよな」

ルーティは顔を上げて。

「迷惑をかけたな、って。思えば今回の事件は、俺の甘さと部下の弱さが――」
「あれはっ」

そこまで言って、口を噤む。

元を辿ればそうかもしれない。それでも、違うと否定すれば今度はその責任を、自分や仲間達に向けることになってしまう。

「認めさせてくれないか」
「……でも」

次の瞬間、スピカは盛大な溜め息を吐き出して片腕を伸ばし、ぱちんっと指を鳴らした。漆黒の稲妻が地面を這うようにして音を立てて走り、ルーティを横切ってエックス邸の扉、すぐ横の壁に激突する。

「す、スピカ!?」
「いいから認めさせろ」

スピカは鋭い視線を送って。
 
 
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