エピローグ



「隠さなくてもいいんだ。弱い自分があってもいい、僕達は今、ここにいる」

ルーティは繰り返すように、

「ここにいるんだから」

ふっと胸が軽くなった。

ここには、自分が本当に取り戻したかった全てがある。優しくて、愛しくて。


温かい、最愛の家族が――


「強がらなくてもいい、」
「ルーティ!」
「今日だけ、泣いたっていいんだ。ちゃんと帰ってこれたじゃないか、だから」

精一杯の笑顔で振り返る。

糸が切れたようにぽろぽろと涙を溢しながら、それでも、いつもの笑顔で。


「お疲れ様。皆、おかえりっ……!」


次の瞬間、糸が切れたかのように啜り泣きや泣き声が波紋のように広がった。誰もが悪夢に恐怖を抱いていた証拠だった。

「この、阿呆」

いつもより力の籠もっていない拳骨を喰らわせてきたウルフは、顔を背けて意地でも顔を見せようとはしなかったが。

一粒の雫が、不自然に滴るのが見えた。
 
 
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