最終章



――歌うんだ。

「っ……立てるか?」
「平気さ……!」

ロイは剣を床に突き立て、ふらり立ち上がると手を差し出し、ピットの手を受け取り、ぐいと引っ張り起こして。

「ええ、知っているわ。この曲」
「彼女……いつも歌ってましたものね」

ゼルダはくすっと小さく笑みを溢して、胸に手を添える。ピーチやサムスも小さく頷くと、瞼を閉じ、ゆっくりと息を吸って。

「が……ッあ、ぐ……やめ、ろ……」

彼女がいつも歌っていた、あの子守唄を口吟む。ホールには様々な想いを乗せた歌声が一つとなり、冷たかった空気を優しく、温かく包み込んでは鮮やかに彩る。

「ァ……あ、アァ……ッ」

くぐもった呻き声を洩らし、確実にダメージを喰らっていたベンゼルの魂は、遂にその歌声により限界を迎えて。

「あアァあァああア……ッ!」
 
 
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