最終章
「ベンゼル様には」
「触れさせないのだわ」
口々にピーチとゼルダが構え、それぞれ対照的に片手を突き出す。すると二人の前に巨大な魔方陣が生成され、そこから桃色の光を纏った槍が幾つも放たれて。
避けきれない――ならば電撃で対抗するしか。ルーティが構えようとしたその時、槍は空中でぴたりと静止して。
「……ユウ!」
見れば、微かだが槍には紫色の光が灯っている。ユウが遠くから超能力で槍を留めているのだ。
「っ……ルーティ! 今の内に」
ルーティははっと目を開いて。
「危ない!」
そう叫んだ時には遅く、ユウの死角からロイが側面に回り込み、構えた剣を左斜め下から右斜め上に向かって斬り上げて。
「あぐッ!」
油断していたが為に攻撃を許し、鮮血が宙を舞う。ふらついたところを追撃しようと、ロイは剣を振り上げて。