第八章



「っ、……?」

ベッドが、軋んだ。

それまで壁に体の正面を向けていたルーティは、頭に疑問符を浮かべつつゆっくりと体を仰向けに。顔を、向ける。


……目を疑った。まさか、夢遊病じゃあるまいし。だが、確かに。

隣に寝転んでいるのはウルフなのだ。


「言うな」

そもそも何かを言おうなんてつもりもなかったが、ウルフはそう口を開いた。

「何も、言うな」

言わなければ分からないというのに。

「何も……ねえから」

ルーティは察してしまった。

その瞬間、彼がどうしようもなく愛しく想えたのだ。暗闇の中、バレはしないだろうと微笑を浮かべ、体を向き合わせてウルフの背中に腕を回す。抱き付き、密着すれば心臓はおとなしくなった。

どくん、どくんと心臓が優しく鼓動する。

「うん」


僕も怖かった。……だけど。


「おやすみ、ウルフ」
「……ああ」


その為の、パートナーだから。


「……おやすみ、ルーティ」

深い絆で結ばれた二人には、その時確かな温もりと、安らかな眠りが約束された。
 
 
 
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