第八章



そうなれば、戻ってきたところで失ったも同然なのだ。それだけは避けなくては。

「……ん」

もう、寝よう。ルーティは瞼を閉じる。

殆に疲れてしまった。今日は体をゆっくりと休ませて、明日の決戦に備えなくては。

……決戦、か。


どくん。


瞼の裏に、蘇る悪夢。

思わずはっと目を開いたが、さすがに声までは上げなかった。が、自分があの悪夢にこんなにも恐怖を抱いていたとは。

心臓が高鳴り、落ち着かない。何となく、胸に手を置いて深呼吸をしてみるも、あの悪夢で囁かれた声が頭の中まで響くようで。……ああ、参ったな。

ウルフと添い寝しようか。でも、悪夢を思い出しちゃって、なんて言ったら鼻で笑われる。しかもこのパターン、二回目。

我慢しよう。そうだ、羊でも――
 
 
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