第八章
――明日、か。
「消すぞ」
あの後、みっともないからやめろとクレイジーに止められ、皆はそれぞれの部屋へ戻った。ウルフとルーティが部屋に入る直前、クレイジーは引き留めて。
――早い方がいい。
彼は言った。
――何って……お前、それで満足しましたってなら止めないけど。僕は行くよ。
あんたらに、見せられたから。
「ルーティ」
「え、あ。うん、おやすみっ!」
名を呼ばれ、ルーティは慌てて返しつつ布団を被って寝転ぶ。間もなく消灯して、ベッドの微かに軋む音にウルフも床に就いたのだと悟る。……クレイジーは。
ベンゼルとの戦いに時間はかけられないと言いたかったのだろう。確かに、その通りだ。長く、悪夢を見せ続けられたら。
皆の精神が、崩壊してしまう。