第八章
ウルフは暫し口を閉ざしていたが、リオンに背を向けて。ダークウルフと向き合い、そして。おもむろに、拳銃を構える。
「ウルフ!」
「分かってる。俺様は冷静だ」
ウルフはルーティを横目に捉えて。
「確かに、こいつを殺っても何も変わらねえ。が、こいつは敵だ。今回の件然り」
ウルフはダークウルフを睨み付け、
「これ以上、何か仕出かす前に――」
パンッ
銃弾は逸れて、床を撃ち抜いた。それというのもルーティが庇うように両腕を広げ、ダークウルフの前に立ちはだかったからである。ウルフは目を細めて。
「……てめえ」
「確かに、彼は敵だよ。分かってる……ウルフの言う通り。――でも、譲らない」
ルーティはばっと顔を上げて。
「彼を殺しちゃ駄目だ!」