第八章



「っル」
「が……ッあ、ァ……!」

スピカが口を開いたその時、ウルフが苦しそうに呻き、その場に両膝を付いたかと思えば頭を抱えて横たわった。

「ウルフ!」

すぐ近くにいたルーティはウルフの傍らに跪くと、抱き起こし顔を覗き込んで。

「ぁ……ア……っあん、たらの……好きには……ッく、ベンゼル……様……ァ!」

ダークウルフだ。それまで地面に座り込んでいたスピカは立ち上がると、ルーティの元へ駆け寄り、ウルフの肩を掴んで。

「中にいるんだな!? ウルフ!」
「ぐ……ッあ、ァア……あ……」

スピカが揺すりながら呼びかけると、ウルフは一旦瞼を閉じ、開いて。瞳は赤黒く染まったり、赤紫に戻ったりを繰り返し。

「ベ、ンゼ……」
「呼ぶな! 俺を見ろ! 俺を呼べ!」

ウルフの瞳が、揺れる。

「ぁ……あ……リー、ダー……ッ」
 
 
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