第七章
突然、ベンゼルが腹を抱えて笑い始めたのだ。初めは肩を震わせ小さく笑っていたが、次第に大きく笑い声を上げて。
「何がおかしいのよ!」
「く……っふふ、これは……失敬」
ベンゼルは目尻に涙を浮かばせ、未だ愉快そうに笑いながらようやく顔を上げて。
「神も、なかなか……っふ、ふふ……」
何が言いたいのだろう。
しかし、彼は確かに神と言った。リムは恐る恐るクレイジーに目を向ける。
「……兄さんもおふざけが過ぎるんだよ」
クレイジーは目を細めて。
「……、どういう」
「事実を求めるのは勝手だけど」
リムを振り返り、
「絶望する覚悟は出来てんの?」
――まさか。
「おい、てめえ」
「神様なんて皆そうだよ」
「ふざけ」
「やめて、ネロ!」
掴みかかろうとしたネロを留めたのはリムだった。クレイジーが伝えようとしている絶望の意味を、彼女は悟って。
「……酷いわ。そんなの」
「何とでも」
「つまり貴方達、神様は」
リムは顔を俯かせながら、
「ホーリィスコアなんてもの、初めから存在しなかったと……言いたいのね……?」
――それは。
「そういうこと」
絶望の終わりか、始まりか。