第七章
「っ……返、して」
ルーティはぐっと拳を握り締め、声を洩らして。何処かで見ているはずのベンゼルも今は口を閉ざし、その声に応えない。
「返して……っ返してよ……!」
まるで、子供が駄々を捏ねるように。
泣き腫らしたい気分のはずなのに涙は零れず、ただ、ルーティは悲しみに暮れて。
「僕の! 大切な仲間を! 今すぐ」
「ああ。返してあげよう」
ルーティは目を開いて。
次の瞬間、ルーティの足下を起点に純粋に真っ白な世界が広がった。一人、ぽつんと立ち尽くしていると、足音が聞こえて。
「ルーティ」
その声に、ルーティはばっと振り返った。
そこにいたのはフォックスである。そんなはずはない、と疑うよりも先にフォックスは一歩踏み出し、口を開いて。
「お前のせいだよ。何もかも」