第七章
「っ……く……」
先程、スピカを庇った際に手放してしまった拳銃を視界の端で捉えて、ゆっくりと右手を伸ばす。――が、ダークウルフは。
「いッ」
その腕を左足で踏みつけ、阻止して。
にやりと口角を吊り上げたまま自分はホルスターから拳銃を取り出し、フォックスの頭に銃口を向ける。フォックスは目を開き、ダークウルフを見上げながら。
「正気か……!?」
ダークウルフは首を傾げたが、今度は右足でフォックスの腹を思いきり踏みつけて。
「ぅぐッ」
「もちろん」
ぐりぐりと踏み躙りながら、
「ベンゼル様の為なら」
引き金を、引いた。
「……遅いな」
場面はまた、リビングへ。
思わず、ぽつりと呟くファルコに、シフォンは立ち上がった。リビングを出ようとする彼女だったが、ドンキーが腕を掴んで。