第七章
「ふん……勘違いすんなよ。あんたら二人だけじゃ頼りないから俺が仕方なく」
「心強いよ。スピカ」
せっかくのつんとした態度もこの笑顔に掻き消されてしまい、スピカは腕を組みつつ改めて、ふんと鼻を鳴らしそっぽを向く。
「ウルフ。この場の指揮は任せた」
「面倒な仕事だけ任せてんじゃねえよ」
小さく舌打ち、フォックスを睨み付けて。
「さっさと済ませて戻ってこい」
相変わらず素直じゃないウルフの態度にフォックスは思わず吹き出しそうになるも、ぐっと堪えて。その間にスピカは右手を上向きに翳し、光の玉を作り出す。
「……こんなもんか」
電気によって作り出された光の玉が、明かりを灯して半径一メートルほどの範囲を照らし出した。狭い範囲でも、これくらいならランタンを使うのと変わらない。
「批判は受け付けないからな」
「十分。じゃ、行こうか」
フォックスは一度、振り返って。
「――行ってきます」