第六章



いや、そのくらいのことは彼らも見通しているだろう。無闇矢鱈に踏み込めば、逆手に取られてしまう可能性だって。

「長考か? つまらないな」

見兼ねたマスターが短く息を吐き出し、駆け出した。すかさず構えるルーティ。

まず、詰め寄ったマスターによる回し蹴りがルーティを襲う。片腕で防ぎ、軽く押し返した直後にその足を掴んで、ぐっと内側に引くと、マスターの体勢はいとも簡単に崩れて。しめた、と思ったのも束の間。

「くっ」

マスターは、にやり。嫌な予感が過ってその足を離すと、刹那、妨げるように地面が抉れ、先の尖った瓦礫が顔を出して。

間一髪、ルーティは首を反らしたお陰で顎を掠める程度で済み、バク転で後退。

マスターはふわりと宙を舞うようにして後退すると、そのまま浮遊して。入れ替わるようにクレイジーは駆け出すと、瓦礫を一旦踏み台にしては飛び越えて着地。

「どーも」

たじろぐルーティににこりと笑って、クレイジーは一気に間合いを詰める。下から上へと突き上げられた拳を何とか躱すも、続け様に飛んできた蹴りは躱しきれず。
 
 
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