第五章
何を、言って――
「やれやれ」
ぴくり、とリオンの体が動いた。
リンクははっと目を開き、「馬鹿な」と小さく声を洩らす。……まだ、その体にはダークシャドウが憑いていないはずだ。
「ユウには、敵わないな……」
リンクはゆっくりと振り向き、そして、目を疑った。――そんなはずはない。
確かに、ダークスコアに記されていた通りの曲を奏でた、それなのに。耳も塞いでいないのに、悪夢から逃れられるはず――
「ぐっ!」
リオンはダークフォックスに回し蹴りを喰らわせ解放されると、続いてダークピチューの鳩尾を肘で強く打ち付けて。
「残念だったな」
リオンは反応が遅れたリンクに詰め寄ると、耳元でわざとらしく口を開いた。
「私には悪夢なんかより、ユウからの仕置きの方が刺激が強くて飽きないのだよ」