第五章
「何のことはねえ」
リンクは嘲るようにはっと笑って。
「あんたらが仲間を見捨てられないかどうかってのを、確かめてやるってんだよ」
分かっていて言っているのだから、意地が悪い。彼らの思惑通り、見捨てざるを得ないという状況だけは避けたいところ。
次にどう動くのか見張っていると、何故かリンクは持っていた剣を鞘に仕舞って。
「今回限りだ。特別だぜ?」
そう言って、懐から取り出したのは薄い水色のオカリナ。これ自体は本物側のリンクが時々、吹いていたものである。
「まさ、か」
リムは目を開いた。
吹き口の先端をそっと銜えては目を細め、指穴にそれぞれの指を乗せる。
「……聴いては駄目よ」
ぽつりと呟く、リム。
ルーティも嫌な予感はしていた。まさか、ベンゼルではなく彼が……今ここで演奏しようとしてるのは。まさか。まさか――
「耳を塞いで!」