第五章
その一瞬の隙を突き、ロボットが回し蹴りを仕掛けた。ネロは眉を顰め、指を鳴らしては目前に小さい炎の玉を作り出す。
直後その炎の玉は小爆発を起こし、ロボットは数メートル飛ばされるも上手く地面に着地して。ネロもバク転をしつつ後退して距離を取り、短く息を吐き出す。
一方のユウはゲムヲと交戦中で、影で作り出した中型のハンマーによる攻撃に、少々苦戦を強いられていた。
無闇に振り回しているわけではない。
本棚を叩いては本を落とし、床を叩き割っては抉る。そうすることで、ゲムヲはユウの行動の制限を狙っているのだ。
「厄介だな……」
ぽつりと呟く。彼にも良心はあるので、X部隊のメンバーはなるべく傷付けたくない。例え、操られていたとしても……
「ユウ!」
はっと目を開いた時には遅かった。
ゲムヲがハンマーを振り上げたその時、ユウのちょうど真上、空中ではリンクが剣を逆手に持ち、構えていたのだから――