第五章



一方のダークピチューも黒煙に視界を阻まれ、咳き込んでいた。こうなったら闇雲でいい、ぶっ放ってやると構えたが刹那、

「自棄になったか? 萌えない展開だな」

その声に、はっと目を開く。

黒煙の中から飛び出してきたのはリオンで、ダークピチューの懐に潜り込むと左手の甲に右手を添え、相手の胸に宛がって。

「くっ」

反応が少し遅かった。

左手に宿った、青白い光を放つ波動が放たれる。弾かれるように後ろに吹っ飛び、本棚に叩き付けられるダークピチュー。

「……さて」

頬を拭い、後ろから飛んできた拳を振り向かず、片手で受け止める。

重心を利用して相手の攻撃を受け流し、腕を掴んでは宙へと高く放り投げる。

「ひひっ」

ダークフォックスである。

宙へ高く放られた彼はホルスターから拳銃を取り出すと、両手にそれぞれ構えてはリオン目掛け、連続して撃ち込む。
 
 
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