第四章
「あかんて!」
そこへ飛び込んできたのはドンキーである。ファルコとウルフの襟を後ろから引き、バランスを崩させ共に後方へ転ぶ。
「って、何しやがる!」
ファルコは振り向き、ドンキーを睨み付ける。ウルフはどすの利いた声で、
「何のつもりだ」
機嫌が悪いだけのレベルじゃない。天変地異でも起こりそうやな、とドンキーは突っ込みたい気持ちでいっぱいだった。
……しかし、今はそういう場面じゃない。
「あいつは死ぬ気であっこにおる」
ドンキーはスピカを見据えて。
「今それを跳ね返したところで、あいつは避けへんねん。ダークシャドウをひょっとしたら戻せないかもしれないという絶望と、敵になる以上の死ぬ覚悟。……そして、ダークシャドウとして死ねるならという本望。……もし、跳ね返したら」
ドンキーはひと呼吸置いて。
「奴は迷いなく死を選ぶ」
確かに、とファルコは口を閉ざす。現在もスピカはドンキーの登場に動揺する様子もなく、じっと睨み付けている。