第三章
その少年の正体はディディーだった。
ピチカはともかく、トゥーンは愕然としていて。ディディーは最後、無線越しに悲鳴を上げて……恐らくは絶命したはず。
なのに、その檻の中にはディディーだけでなく、ネスとリュカもいる。ピチカは知らないだろうが、これは一体どういう……
「やっと追い付いた」
二人がそうして立ち止まっている内に、一度撒いたはずのマルスがすぐそこまで来ていた。片手にはしっかりと剣が握られていて。トゥーンは己の背負った鞘から剣を引き抜くと、ピチカを後ろへ追い遣って。
「トゥーンっ」
「俺が足止めをする。お前は逃げろ」
ピチカは首を横に振って。
「出来ないよ! 戦うなら僕も!」
「ピチカ!」
「ごちゃごちゃと!」
マルスは剣を大きく振るい、駆け出して。