お頼み申す!
次にやって来たのはCDとDVDのコーナー。こういった商品を初めて買うのに声や音が入った視覚だけでなく聴覚までも犯す類いのものを購入するというのは幾ら何でも飛ばしすぎなので今回は様子見といったところだが。
……成る程。やはり先程見て回った本のコーナーより裏パッケージのイメージ画が目当てかうろつく連中が多い。
「うっ」
タイトルに興味をそそられて近付いたがそれより早く大柄の男がよりにもよってミカゲが目を付けたパッケージの正面に立ち塞がった。男の目的はそれではないものの、上からも横からも生憎そいつを覗けそうにない至極むず痒い事態に。
そりゃあ、声をかければ退いてくれそうなものではあるがそれはその、何もそこまでといった話でもないしもごもご……コミュ障って言うな!
「ん?」
ふと。マークとシュルクが近くに居ないことに気付く。見回すと少し離れた試聴機の前に二人の姿があった。二人並んでヘッドホンでCDを試聴なんてやっぱり気になるものは気になるんじゃないか。
腹いせに少し脅かしてやろう。そう思い立ったが早くミカゲはそろそろと。
……抜き足、差し足。
「わっ」
後ろから二人の肩を軽く叩いて――
「うわああぁあああ!?」
「イヤーッ!?」