お頼み申す!
いよいよ入店。
「いらっしゃいませー」
店員の挨拶に苦しゅうないぞと心の中で返しながら何食わぬ顔で通過――
「あ……すみませんお客さま年齢確認の方よろしいでしょうか?」
なんでだよ!
二人は普通に通過したのに!
「せ、先々月に解禁しました……」
声を震わせ俯きながら身分証を提示するミカゲ選手、順調なスタートです。
「ごゆっくりどうぞ!」
もう既に帰りたい。
「……ミカゲは小さいからね」
「うるさい! この巨神!」
「えぇっそこまで!?」
店内には落ち着いたクラシック音楽がBGMとして流れておりそのお陰か暗黙の了解か人の声というのもそれほど目立たない程度に誰も抑えていた。最も騒がしくしてはいけないというルールもないのだろうが商品を選ぶ側としても静かに厳選したいので、その方が助かる。
「何を買うんだい?」
マークが訊いた。
「ここはやはり単行本にしようかと」
「確かに、雑誌だと表紙カバーとかで誤魔化せないからね」
よく分かっていらっしゃる。
「色々あるみたいだよ」
シュルクは本棚を見上げながら。
「どういうのが好きなの?」