お頼み申す!
「やるじゃないか、ミカゲ!」
退店後。そこには嬉しそうに互いの手を打ち合わせる三人の姿があった。
「本当は小銭を盛大にぶち撒けた辺りで飛び出したいくらいだったんだけど」
ミカゲは首を横に振る。
「……もし。あの場で二人が手を借していたら拙者はこの先何度でも二人を頼ることになっていたと思うで御座るよ」
一人では立ち向かえなかった。
無茶を言って無理矢理引っ張り出して、どぎまぎとしながらまだ真新しい世界を見上げて、触れて。
溢れて止まない好奇心と探究心に。
――目を輝かせながら。
「ミカゲ」
きっと誰もが通る道なのだろう。
「もう一人でも行けるね?」
求める何かが違っても。
新しい世界を切り開くということは。
「……もちろん、で御座るよ!」
斯くも素晴らしいことで。
「あっでも途中まではついてきてほしいで御座る……なんて」
「はぁ……言うと思ったよ……」
呆れ顔のマークに苦笑いのシュルク。
「そういえば」
ミカゲは思い出したように。
「これ。何に使うので御座るか?」
「うわあああっ!」
質問ついでにビニール袋の中から電機按摩器を取り出した途端、止められた。
「何をしてるんだ、外なのに!」
「ああ……自分の物とは思ってなかったもので特に気にしてなかったで御座る」
ミカゲはきょとんとしながら。
「それでこれは一体」
「知らなくていい!」
世界とは色々あるもので。
彼がその正体を知ることになるのは。
「……?」
多分、もう少し後の話。
end.
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