お頼み申す!



「……あ」

同じく屈む影に小さく声を洩らした。

「大丈夫ですか?」

そう言って落とした小銭を拾い差し出すのはミカゲの後ろに並んでいた男性。

「ぁ、ありがとうございます……」

せっかく手伝ってくれたというのにいつもの悪い癖が出てしまい顔も合わせられずぼそぼそと小さな声で返してしまう。

ミカゲは小銭を受け取って立ち上がると改めてぶち撒けてしまわないよう改めて慎重にキャッシュトレイの上へ。


「頑張ってくださいね」


その様子からこういう系統の店を初めて訪れたものだと悟ったのだろう。思わぬ励ましの言葉にゆっくりと目を開いた。

「あ」

店員に気付いてお札入れを開く。

「えっと」

五千円札と千円札を一枚ずつ。

「……はい。丁度お預かりします」

店員はお金を受け取るとその間に商品を詰めた黒いビニール袋を差し出して。

「こちらが商品になりますね」

かっ、

「ありがとうございました、またご利用くださいませ」


買えたあぁあああ……!
 
 
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