お頼み申す!



……潤滑油。

「使うの?」

棚に陳列されたそれを眺めていたその時マークがきょとんとして訊いた。

「あった方が困らないかなって」
「それもそうだね」


……避妊具。

「……使うの?」

流石にぎくりと肩が跳ねた。

「な、中に出すのは……お腹が痛くなるらしいから……」

それを言うと少しの間を置いて。

「……気にしてないよ」
「そ……そっか」


……。


「買わないんで御座るか?」
「ヒッ」

何が陳列された棚を二人並んで眺めているのかと思えばまさかの媚薬である。

「そ、それはその」
「僕たちにはまだ早いかな、って」

……僕たち。

「まさか二人は付き合って」
「ない!」
「……突き合ったことが」
「してない!」

即座に否定されたものの。

「ぼ、僕たちのことはいいから」
「ミカゲは会計を済ませてきなよ!」

じゃあ一体どういう関係なんだろう。

「あはは……」

……気になる。
 
 
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