お頼み申す!
店を出た後であれを買えばよかった、これを買えばよかったなどと後悔するのは御免だ。会計は気の済むまで物色した後でも遅くはない。……で。
これは何だろう。
「シュルク?」
それまで隣を並んで歩いていたその人が立ち止まり商品を手に凝視しているのを見てマークは怪訝そうに歩み寄る。
「……、何だい? それ」
「えぇっと」
シュルクは商品名を読み上げる。
「……電機按摩器」
「ということはマッサージ機だね」
変わった形状をしているがどうやらそのようだ。色、バリエーション共に豊かでここに来て日用品とは驚いた。
「わ、動いた」
「音が静かで悪くないな」
興味を持ったのかマークはシュルクとは別の試用品を手に取る。
「うわっ!」
試しにスイッチを入れたその途端、くねくねとうねり始めるのだから思わず声を上げてしまった。シュルクはくすくす。
「面白いね、これ!」
「うん。ひとつ買ってみようかな」
「じゃあ僕もドクターさんに」
「それ」
ミカゲはじっとりとした目つきで。
「大人の玩具で御座るよ」
ぴた、とはしゃぐ声が止んで。
二人が静かに手に持っていた商品を元の位置に戻したのは言うまでもなく。