お頼み申す!




齢十八を迎えて早数ヶ月。

未知なる領域への封印は解かれた。で、あればこのミカゲ、鋼の心を持って馳せ参じ雄姿を示さねばなるまい。

――勇敢なお供を携えて、いざ!


「絶対に嫌だ!」


司令塔四階フォーエス寮。

「離してくれ!」

その通路。

「絶対、嫌で御座るぅうぅ……!」

冒頭の語りに反抗するように揃えて声を上げたのはマークとシュルクである。

そしてその両方の上着のフードを掴んで踏み堪えているのはミカゲ。

「なんで僕たちなんだ!」
「同年代じゃないで御座るかぁあ!」
「一人で行きなよ!」
「心細いで御座るぅうぅ!」

奮闘すること十数分。反抗の意思を示すこの二人がそれを阻むミカゲ一人に負けそうなのが他人事ながら面白い。

「一生のお願いだからぁあ!」
「他の奴に頼めばいいじゃないか!」
「僕たちは絶対に行かないよ!」

ぱっとフードが離された。

「……そう」

マークとシュルクは振り返る。

「そこまで言うなら仕方ないで御座る」

目元に影を差して。

「他の者に頼むで御座るよ」

やっと諦めたか……安心して息をついたのも束の間。

「……そういえば」

ミカゲは呟く。

「ルフレとルキナも同じ十八歳だったで御座るな」
 
 
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