走れ!真夏のヒーロー!



……お熱いことで。

「ブラピ」

この頃になるとその呼び名もいい加減に馴染んで否定するという一連の流れさえ面倒を通り越して事実しなくなってきたわけだが。まあ、ともかく呼ばれたので振り返ってみると。

「どうですか?」

ノンワイヤーの三角ビキニはビーチに映えるホワイトベースのエスニック柄で上品な女性の大人らしさを演出。アウターは透け感のある涼しげな素材で出来たワンピースタイプのパレオ。

成る程。どんな派手な水着で勝負に出てくるのか内心ヒヤヒヤするものもあったがまさしく女神パルテナらしい着こなしといったところ。感想を求める彼女にブラピは腕を組みふんと鼻を鳴らして。

「馬子にも衣装だな」
「あら。照れなくていいんですよ?」

ブラピは小さく息を吐き出して。

「……誰が」


どんと聳え立つ立派な城がひとつ。

「どうだ!」

その前に腰に手を当て踏ん反り返るのはジュニアである。……実はこれ、全部が砂で出来た砂のお城なのだ。

「素晴らしいですね」

ロゼッタはチコを胸に抱きかかえながら微笑ましそうに……おっと、此方もよく見てみるとチコではなくチコに似た色形をしたビーチボールのようである。

「ぼくは大魔王になるんだ! 未来住むお城くらい、計画してて当然だろ!」

……よく出来た子供だ。
 
 
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