走れ!真夏のヒーロー!
同じタイミングで更衣室に入ったはずのルフレがいない。まあ、そもそも女性は着替えを終えたところでそれが似合っているものかはたまたあらぬ肉が乗っていないか様々な不安が後から芽生えてなかなかに拭い去れない面倒な生き物だ。
今もまだ迷うものがあるのだろう。
「ルフレは着替えてたんだけど……」
疑問符。
「先に行って待ってて、って」
ああ成る程。へぇ、と返したが察し。
「マーク!」
呼ぶ声に振り返ってみるとちょうど水着姿のシュルクが駆け寄ってきた。
「泳がないの?」
「ルフレを待ってるんだよ」
「どうでもいいけどお前は水着を着ても代わり映えしないなー」
「えっどういう意味」
「兄さん!」
マークとシュルクは振り返った。
――太陽の光に当てられて眩しいホワイトフリルの水着に身を包んで。白磁の肌と雪のような白髪である彼女ルフレにはやはりその色がしっくりときている。
その隣で恥じらいを見せながらルフレに寄り添うのは大胆にも赤のビキニに身を包んだルキナである。確かに胸部の発達はよろしくないがその分細身であるため凹凸が少ないからこその絶妙なラインに目を奪われる。
行き交う一般男性の視線然り。
「満点で御座るな……!」
「いやお前いつからそこにいたんだよ」