走れ!真夏のヒーロー!



「く、くそぉぉぉ……」

貝殻の襲撃により怯んでいた男達が一斉に睨みつけた。駆けつけたシラヌイとモウカにそれぞれ支えられながらマークとシュルクは立ち上がる。

「調子に――」

言いかけて。

「ごふっ!?」

男の一人が声を上げた。

見ればぐるぐると目を回しながら地面に伸びている男の側に何故か巨大マグロが転がっているではないか。もちろん調理済みではなく正真正銘生魚の。

超新鮮。めっちゃビチビチしてる。

「間に合いましたね!」

現れたのはハルとトレーナー。

「じゃあ、今のは」

頷くハルが肩に担いでいるのは釣り竿。

「ぼくが釣った」

どんな腕力だよ!

「あのマグロ何キロあるんだろう……」
「五百はあるじゃろうのう」

いやそんなさらりと。

「ふ、ふざけやがって!」

残された三人の内二人の警備員の男達が拳銃を取り出した。……が。

「うわっ!」

即座に弾かれ拳銃は宙を舞って。

「ルール違反は感心しないで御座るな」
「来てくれたのかミカゲ!」

道脇に生えていた木の枝からさっと飛び降りて華麗に見参。

「……特殊能力の使用はまずいんじゃ」
「水はセーフで御座る!」
 
 
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