走れ!真夏のヒーロー!
……うん。
「ねぇマーク」
シュルクが呟いた。
「さっきより目立ってるよね」
ですよね!
水着のまま道路を走ったのでは、それがいくら犯人を追うための正義であっても事情を知らない一般人には不審がられてしまう。その対処法としてルキナに渡されたのが自分たちの上着と靴。咄嗟の判断とはいえ一体どうやって男子更衣室に入ったのかという疑問はさておき。
なんだこれ。
僕の場合はローブだから、端から見たら露出狂に見えるんじゃないかな! 逆にシュルクの上着は袖がないから一昔前のアイドルみたいになってるし!
「と、とにかく」
マークは気を取り直して。
「今は犯人を追いかけよう」
付かず離れず。犯人との距離は依然として離されずそれほど進展もなく。恐らく背中に背負ったあれが重いのだろう。
諦めればいいものをそれだと今度此方が追いついた時に犯人だという証拠が無くなってしまうのが困る。盛大に転びでもしてくれれば片がつくのだが。
別に、願うばかりの状況でもない。
考えあっての追跡なのだ。
「――位置を特定した」
この声はロックマン。それぞれの上着に付けられた小型無線機からである。
「T路地に出る。右に追い込め」
「……了解!」